長寿を祝う還暦は、元服、婚礼と並ぶ人生における三大祝儀の1つに数えられ、家父長制の強かった封建時代の名残です。そのためか、祝いの対象になるのは男性だけで、家長は数え年の61歳になると、家督を後継者に譲り、引退するのがしきたりでした。したがって還暦は単なる長寿のお祝いというよりも、その家の家系が代々続き、家業が繁栄することを願う儀式としての性格が強かったと言われています。
還暦の語源には、干支が関わっているようです。干支は、十二支(子・丑・寅・・・)というのが一般的ですが、それ以外に十干(甲・乙・丙・・・)というものがあります。干支とは十干と十二支を組み合わせたもので、60年でその組み合わせが一巡します。それにちなみ、還る暦(かえるこよみ)と書いて、還暦というわけです。
生まれた年に戻るので、「赤ちゃんに還る」という意味があり、「赤は魔よけの色」ということから、還暦のお祝いには赤い色が好まれます。「生まれ変わった気持ちで、ますますお元気に」という気持ちを込めて赤いちゃんちゃんこや、頭巾、赤いお花などを贈りましょう。お祝いの色は赤です。
|